ブログ京橋店

2018.5.22

日本料理のさしすせそ「さ(砂糖)」編

春風がとても気持ちの良い日々となりました。いかがお過ごしでしょうか。

今回は日本料理の基本についてお話をします。

日本料理では、「五味五色五法」という定式があります。

まずは五味。料理は、全体バランスを考えて、甘味、辛味、塩味、苦味、酸味の5つの味付けがしてあります。

続いて五色。赤、青、黄、白、黒の5つの色彩をうまく取り入れ、季節感を出しています。

そして五法。「焼く」、「煮る」、「蒸す」、「揚げる」そしてお造りのように生を活かした料理方法を指します。

料理人はいつもこれらの定式を考え、料理し、盛り付けを行います。

 

 

ところで皆様は日本料理の基本である味付けの順序を語呂合わせで「さしすせそ」というのを聞かれたことがあると思います。

日本料理の基本調味料で「さ(砂糖)」、「し(塩)」、「す(酢)」「せ(醤油)」、「そ(味噌)」の調味料を言います。

この5つの調味料の特徴を説明させて頂きます。

最初に「砂糖」です。

「甘味」と聞くと真っ先に思い浮かぶのは砂糖ではないでしょうか。数ある甘味料の中で、もっとも身近な普段使いの調味料として活躍する存在です。

 

主成分、原料

砂糖の主成分は、ブドウ糖と果糖が結合してできたショ糖です。

「ショ」は漢字で「蔗」と書きます。これはもともと、中国でサトウキビを表す言葉。その名の通り、サトウキビの茎やテンサイ(砂糖大根)の根から採れる無色の結晶です。

自然界では植物の中にしか存在しません。カエデやヤシも砂糖の原料になりますが、日本では主にサトウキビ(甘蔗)とテンサイの2種類の原料からつくられます。

 

伝来、歴史

砂糖が日本に伝わったのは奈良時代。中国の僧侶・鑑真が持参したといわれています。当時は主に薬として扱われていて、正倉院に貴重な財宝として保管されていたというから驚きです。

15世紀には茶の湯とともに和菓子が発達し、砂糖文化の大きな転機となったのは16世紀の南蛮貿易。西洋文化とともに砂糖が大量にもたらされ、次第に国内でも製糖業が広がり、明治時代にはようやく一般庶民にも手の届く調味料になったのです。

 

「砂糖」の調理効果

親水性→たんぱく質と水分を結びつける「親水性」。すき焼きを作るとき、肉に砂糖を揉み込むと肉を硬くなるのを防ぐことができます。冷めても硬くならないので、お弁当のおかず向きです。

メイラード反応→砂糖とたんぱく質に含まれるアミノ酸を加熱すると、メイラード反応を起こし、メラノイジンという色素が生まれます。これが食欲をそそる褐色の焼き色、芳ばしい香りの正体です。

苦味、酸味を和らげる→コーヒーに砂糖を入れると苦味が和らぎます。これは砂糖のマスキング効果。柑橘類の強い酸味も抑えることができます。

でんぷんの弾力を保つ→砂糖には、でんぷんを柔らかく保つ働きがあります。そのため、砂糖を加えた寿司飯が時間が経ってもしっとりと、もち菓子やようかんが硬くならないのです。

卵料理をふわふわに仕上げる→卵に含まれる水分が砂糖によって吸収され、たんぱく質の固まる凝固温度が高くなり、穏やかに固まります。オムレツや卵焼きがふんわりなめらかに仕上がります。

 

種類

砂糖は製法の違いによって「分蜜糖」と「含蜜糖」の2つに分けられます。

含蜜糖は、サトウキビの搾り汁をそのまま固めたもので、ミネラルなどショ糖以外の成分が残ります。

分蜜糖は糖蜜分を分離させ、結晶だけを取り出して乾燥させたもので、純度が高い砂糖になります。グラニュー糖、上白糖、三温糖は分蜜糖。グラニュー糖を加工した氷砂糖や角砂糖、粉糖も分蜜糖です。

沖縄や鹿児島でつくられる黒砂糖やメープルシロップなどは含蜜糖の仲間。豊かな風味が特徴です。

 

 

 

次回は「塩」についてお話をしてみます。

ご清覧、誠にありがとうございました。

 

香水亭京橋店料理長  越智健介

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